歯がたたなかった年金

  初めて生活保護地区担当(ケースワーカー)になったとき、25歳だが、家庭訪問も負担だったが、年金がさっぱりわからなかった。当然もらい忘れも、未申告の不正も見つけられない。
 諸先輩が「年金と健康保険は基本中の基本だからね」と言うがどう攻略したらよいか教えてくれない。時間中は生活保護世帯の新規訪問、収入変更、死亡した、入院した等で追いまくられる。研修は社会保障全部で2,3日で終わり、何もわからない。朝8時半の仕事までに勉強しようと1時間前に出勤し、無人の事務所内で年金の研修資料など読んだが、宿直のおじさんに怪しまれるだけ。歯が立たなかったというのが実感である。
 私が年金のことがわかりかけたのはかなり後、社労士合格の36歳よりも数年たった、2度目の生活保護業務においてであった。
 資格試験合格はスタートであり、わずかな経験で年金の専門家になど、なれはしない。